盛岡市内で三代続く建具店を営む、60代のご主人。長年、寸法も仕上がりもすべて頭の中と手の感覚で組み立ててきました。そんなご主人が還暦を過ぎてから始めたのが、AIを使った設計図づくりの「学び直し」です。
きっかけは、後を継ぐ息子さんとの会話でした。「これからは図面もデータで残しておいた方がいい」——そう言われて渡されたのは、AI搭載の設計支援アプリを入れたタブレット。最初は戸惑いながらも、寸法を伝えるだけで簡易的な図面のたたき台を作ってくれる機能に驚いたそうです。
「今までは頭の中にしかなかった段取りを、誰かに説明できる形で残せるようになった」とご主人。長年の経験や勘をすべてAIに置き換えるのではなく、次の世代に伝えるための一つの道具として使い始めたといいます。
盛岡・岩手には、こうした伝統技術とデジタルの間で試行錯誤する経営者・職人が少なくありません。地域のAI活用支援チーム「DX8」では、こうした企業や個人事業主向けに、現場に合わせたAI活用の体験セッションを行っています。「難しいことは分からなくていい。ただ、体験してみてください」という姿勢で、地域のものづくりを支えています。
今月のCoCoKaMiマガジンVOL.12のテーマ「学び直しの秋、はじまる。」にもあるように、学び直しに年齢は関係ありません。長年培った技術に、新しい道具を少しだけ足してみる。そんな一歩が、次の世代への引き継ぎにもつながっていきます。
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