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CoCoKaMi地域の大人図鑑2026年08月28日

盛岡近郊の老舗酒蔵、蔵元が挑む「杜氏の勘」のことば化——地域の大人図鑑

岩手県内で代々続く、ある酒蔵の五代目。長年杜氏だけが頼りにしてきた「今日は仕込みを一時間早める」といった勘を、AIと一緒に言葉にする取り組みを取材しました。伝統と技術が交わる、盛岡近郊のものづくりの今をお届けします。

盛岡から車で小一時間、岩手県内で代々酒造りを続けてきた、ある酒蔵を訪ねました。案内してくれたのは、蔵を継いで五年目になる五代目。杉桶が並ぶひんやりとした蔵の中で、いま静かに始まっているのが、AIを使った「杜氏の勘」の言葉化です。

数字にできない判断を、誰かに残したい

「今日は気温が高いから、仕込みを一時間早めよう」——長年蔵を支えてきた杜氏の判断は、温度計の数字だけでは説明できないものばかりだといいます。麹の香り、もろみの泡立ち方、その日の空気。五代目は「この勘がいなくなったら、うちの酒の味は続けられない」と、数年前からずっと感じていたそうです。

スマートフォンのメモから始めた記録

大がかりなシステムを入れる余裕はありません。そこで始めたのが、杜氏との会話をスマートフォンで録音し、AIの文字起こし・整理機能(ChatGPTなど。詳しくは公式サイト chatgpt.com をご確認ください)を使って、判断の理由を文章にまとめる作業でした。「今日はなぜ仕込みを早めたのか」を杜氏に聞き、その答えをAIと一緒に整理していく。半年ほど続けるうちに、判断のパターンが少しずつノートに積み重なっていきました。蔵人みんなで読み返せるように、季節ごとにまとめ直しているそうです。

受け継ぐのは「答え」ではなく「考え方」

五代目が大切にしているのは、マニュアル化ではなく、判断の背景を残すことです。「この通りにやれば良い酒ができる、という話ではないんです。杜氏がどう考えて決めているかが分かれば、次の代も自分の頭で判断できるようになる」。AIは答えを出す道具ではなく、蔵に伝わる勘を言葉にする手伝いをしてくれる存在だと話してくれました。

伝統と技術が交わる盛岡近郊のものづくり

杉の香りに包まれた蔵の中で、昔ながらの手仕事とAIが静かに交わっていました。次の世代へ、味とともに「考え方」を受け継ぐ挑戦は、まだ始まったばかりです。この秋、蔵の新酒が仕込まれる頃には、また新しい記録がノートに加わっていることでしょう。

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