盛岡市郊外、蔵の中に麹の香りが漂う老舗味噌蔵。四代目として蔵を継いだ女性が、いま新しい挑戦をしています。それは、AIを使って「おばあちゃんの味」を次の世代に残すという取り組みです。
※本記事は、盛岡の地場産業に見られる複数の事例をもとに構成したモデルケースです。
「勘と経験」だけで作られていた味
先代である祖母の味噌づくりは、長年の勘と経験が頼りでした。気温や湿度、麹の状態を見ながら、その日ごとに微妙に手順を調整する——数値化されたレシピは、どこにも残っていませんでした。
「おばあちゃんが元気なうちに、あの感覚を言葉にして残しておきたかった」。四代目はそう振り返ります。
AIと一緒に、感覚を言葉にする作業
そこで取り組んだのが、ChatGPT(OpenAI公式サイトで提供されている対話AIサービス)を使った聞き取りの整理です。祖母への聞き取りメモや、仕込みの記録をAIに読み込ませ、「気温が高い日はどう手順が変わるか」「発酵具合をどう見極めているか」を、質問を重ねながら一つずつ言語化していきました。
「うまく言葉にできない感覚も、AIに壁打ちのように質問してもらうと、意外と自分の中から答えが出てくるんです」と四代目。できあがったレシピノートは、蔵で働くスタッフ全員が見られる形にまとめられ、味の再現性を高める助けになっています。
伝統を守りながら、新しい一歩へ
出来上がったレシピノートをもとに、今では季節限定の新商品開発にも取り組んでいます。祖母の味を土台にしながら、盛岡の若い世代にも親しみやすい味噌を作りたいという想いがあるそうです。
「AIは、おばあちゃんの代わりにはなりません。でも、おばあちゃんの知恵を残す手伝いはしてくれました」。そう話す四代目の言葉に、伝統とAIが交わる、これからのものづくりのヒントがあるように感じました。
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